医薬品は臨床試験を経て市場に出ます

病院で処方される、あるいはドラッグストアで市販されている薬が市場に出るまでには、厚生労働省が定めた高いハードルを乗り越えなければなりません。新薬の候補となる化合物を発見するための基礎研究は新薬開発の出発点ですが、この段階でも何千、何万というテストを繰り返して、一つの有力物質が見つかるかどうかと言われています。

日本は海外に比べて承認が遅い

その物質が新薬の有力候補となったら、動物を対象とした非臨床試験を行います。既存の薬と少なくとも同等以上の効果を持ち、大きな副作用がないと判断された場合、実際に人間が使用してみることで、その有効性と安全性を確認することになります。この人を対象とした新薬の臨床試験を治験といい、公正で良質なデータを集めるため、その実施には医療機関、治験コーディネーター、臨床開発モニターなどの専門スタッフがかかわっています。

この治験で良好なデータが認められた場合、製薬会社は国に製造・販売の承認申請を行い、医薬品医療機器総合機構が審査を行います。この審査をパスしたものだけが、薬事・食品衛生審議会が新薬として承認することになります。

治験にはその対象によって段階(フェーズ)が分かれており、①健康な成人を対象に、新薬候補の薬剤を投与し、体内でどのように吸収、分布、代謝されるかを調べるフェーズ1、②比較的少数の患者を対象に実施し、その疾患・病状に対して、効果的な用法と用量を調べるフェーズ2、③実際の医療現場における患者に使用することを想定した大規模試験のフェーズ3、となっています。

最近は肥満症改善薬の臨床試験に参加したモニターの身体的データに改竄が行われていたり、あるいは高血圧治療薬「バルサルタン(商品名ディオバン)」の臨床試験に同薬の販売元であるノバルティスファーマ社の社員が関わっていたことが大きく報道されるなど、治験の信頼性が問われる事態になっています。